ウイグル大学卒業生が就職するための必要最低限の条件
中国政府は「西部大開発」という名の侵略・強盗政策の下、毎年東トルキスタンに万人単位で漢民族を移住させている。中国内地(現在の中国で東トルキスタン、チベット、内モンゴルを除いた地域を指す)で宣伝を繰り広げ、漢族を東トルキスタンに行って働くように勧誘している。
東トルキスタンでは漢族移民に優遇政策を実施している。東トルキスタンに来るときの交通費が支給され、生活費、そして土地や住まいなども提供される。東トルキスタンに来ればこの「貴族待遇」が受けられることを宣伝しているのである。
中国内地の大学を卒業した漢族学生にも、毎年東トルキスタンに行くように勧め、役人や幹部などに優先的に就職させることを約束している。東トルキスタンでは漢族の大学生や高校生、専門学校生などは順調に就職している。
残念ながら、ウイグル人大学生は90年代に入ってから就職が難しくなり、科学技術分野、研究機関、国営・私営企業などははっきり「少数民族は要らない」と拒否しているのである。これは東トルキスタンの主な社会問題の一つになっている。中国侵略政府は「ウイグル自治区」などといっているが、自治などないどころか、ウイグル人には就職の権利も与えられない。大漢民族主義が貫かれているのが現状だ。
一部のウイグル人大学生は政治的安定のためと称して経済発展が遅れているアクス、アトゥシ、カシュガル、ホテンなどの貧しい地区に分配される。ただ、そのような就職先でも優先されるのは漢族である。そして就職には“政治条件”がつきまとう。これがウイグル青年たちの悩みの種となっている。
例えば、「新疆ウイグル自治区民政庁」が2004年3月22日に東トルキスタンの各地区、県の労働局、人事局に発行した「2004年ウイグル自治区の大学卒業生を南新疆の4つの地区の郷、バザルに分配する際の規定」によると、ウイグル自治区共産党委員会とウイグル自治区政府が農村地区の基層幹部隊伍を強めるために、今年大学卒業予定の学生の中から700人を選んで、カシュガル、ホテン、アクス、アトゥシなどの農村地区に派遣することを決めた。700人のうち、500人が漢族で、200人がウイグルなど“少数民族”から選ぶようだ。200人の少数民族大学卒業生は25歳以下に限り、ほかに下記の政治条件がある。
1.四つの基本原則を堅持し、祖国の統一を守り、民族分裂と非法宗教活動に参加しないこと。
2.政治素質が高くなければならないこと。家族の中に民族分裂者がいてはいけない。宗教を信仰してはならない。
3.卒業生は共産党員であるかまたは大学で学生幹部であること。学生時代に“三好学生”であったこと。
要は本人からその親戚に至るまで、共産党に忠実でなければならないということである。ウイグル自治区民政庁の規定によると、各県、市人事局、労働局は上記の条件によって就職させなければならない、厳しくチェックしなければいけないなど要求されている。
この規定は就職するためには、ウイグル青少年やインテリが、1000年以上も信仰してきた宗教を放棄し、中国共産党の思想や無神論を覚え、傀儡幹部になるしかないことを意味する。しかし、ウイグル人青年が、就職の書類に「私はイスラム教を信仰しない」と書けるだろうか。こうして青年たちは悩むのである。
これが中国侵略者政府が東トルキスタンで「党の民族政策」を実施し、「民主を保護」し、ウイグル民族の「人権を尊重している」現実である。
ウイグル太郎
東トルキスタン情報センター
2004年9月3日
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